猫のパルボウイルス感染症という病気をご存知でしょうか?
猫ちゃんの命に関わる恐ろしい伝染病です。
ワクチンで予防できるのですが、運悪く感染してしまうと免疫力や体力がない猫ちゃんにとっては致命的になることがあります。
『猫エイズ』や『猫白血病』などはよく耳にするかと思いますが、『パルボウイルス感染症』はまだまだ知られていないことが多い病気です。
そこで、今回の記事では、猫の5大感染症の一つである、パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)の症状や感染経路、治療法についてご紹介します。
猫パルボウイルス感染症の主な症状は?
猫パルボウイルス感染症は、以前は「猫ジステンパー」とも呼ばれ、感染すると命に関わる危険のある恐ろしい病気でした。近年になってワクチンが開発され、発症例は減少傾向とはいえ、決して油断できない病気です。
猫パルボウイルス感染症の主な症状は、激しい下痢や嘔吐ですが、これだけだと「猫伝染性腹膜炎」にも似ています。ですが、猫パルボウイルス感染症は進行してくると血液検査で顕著な白血球減少がみられる点で違いがあります。
この血球異常のため、この感染症は「猫汎白血球減少症」とも言われます。
体力があり、抵抗力の強い成猫がこの病気にかかった場合は、比較的軽い症状で、治癒することもあります。ただ子猫や老描など、抵抗力の低い猫が感染すると、最悪の場合、発症から数日で急激に衰弱し、死に至ることも少なくはありません。
猫パルボウイルスの怖さ
「猫パルボウイルス」の恐さは、以下のように非常に感染力が強いウイルスであるということです。
- 人を介して感染する場合もある
- 感染した猫を触った手で、ほかの猫に触ることで感染する可能性がある
- 通常のアルコールや、紫外線、熱湯では消毒効果がない
- ウイルスの生存期間が長く、最低でも3か月以上感染力がある
- 一度感染してしまうと、猫の体内でどんどん増殖する
完全室内飼いでも、感染の可能性があります。飼い主さんの靴などに付着したウイルスから感染する恐れがあります。また、飼い主さんが感染した猫を触った手から、感染してしまう可能性もあります。
猫パルボウイルスは生存期間が長く、少なくとも数か月間は感染力を保持するようです。
感染した猫の嘔吐物や排泄物にはウイルスが潜んでおり、特殊な消毒が必要なため、感染した猫は、他の猫から隔離するなどの対処が必要になります。
猫パルボウイルスの治療法
以上のように、猫パルボウイルス感染症は恐ろしい感染症です。ワクチンで予防はできますが、感染症はどんなに予防しても100%は予防できません。
万が一猫ちゃんがパルボウイルスに感染して発症してしまったとき、どんな治療をすれば良いのでしょうか。
猫パルボウイルスに特効薬はない
残念ながら、猫パルボウイルスに特効薬はありません。
パルボウイルスに感染してしまったら、インターフェロンというタンパク質を注射することで猫ちゃんの免疫力を上げる治療をします。
そして、免疫力を上げながら、対症療法が主な治療となります。下痢していたら下痢止めを使い、吐いていたら吐き気止めを使うなど、根本的な治療ではありません。
猫ちゃんの回復力次第です。猫ちゃんの生命力を信じるしかありません。ですから、いかに早い段階で治療を始められるかも重要となります。
どんな症状で感染に気付けるか?
ワクチンを接種していない猫ちゃんの場合、
- 何度も吐く
- ひどい下痢をする
という症状が見られたら、様子を見ることをせずに、動物病院で検査を受けましょう。ワクチンを打っていないということは、猫パルボウイルスが原因である可能性は捨てきれません。
特に子猫が酷い下痢をしているときは、早めに病院へ連れて行きましょう。子猫は重症化しやすいです。命に関わりますので早急な治療が必要です。
猫パルボウイルスは多頭飼いなら絶対に知っておくべき
猫パルボウイルスは、あまり聞きなれない名前ですが、「猫パルボは獣医師がもっとも嫌う病気」と言われることもあるくらい厄介なウイルスです。
多頭飼いの場合は特に注意が必要です。
ですから、多頭飼いの場合は、必ず全ての猫ちゃんにワクチンを接種することが大切です。
また、新しい猫ちゃんを迎えるときにも注意が必要です。症状がみられなくても、猫パルボウイルスは1週間~2週間、潜伏期間があります。また、初期段階では血液検査でも異常が見つからないこともあるようです。
猫パルボウイルスの予防方法
こんな恐ろしい猫パルボウイルス感染症は、どうすれば予防できるのでしょうか。
まず、怪しいブリーダーからは猫を購入しないようにしましょう。野良猫を保護した場合には運を信じるしかありません。
それ以外に気を付けるべきことを見ていきましょう。
猫を完全室内飼いにする
猫ちゃんを完全室内飼いにしましょう。
室内飼いにすることで、パルボウイルス以外にもその他の感染症や交通事故などあらゆる危険から猫ちゃんを守ることができます。
上記で説明したように、完全室内飼いでも感染の可能性は100%防げるものではありませんが、格段に確立を低くできます。
飼い主さんも、外から帰ってきたら手を洗うなどウイルスを家に持ち込まない注意が必要です。
定期的なワクチン接種で予防
猫パルボウイルスについては、3種混合ワクチンの接種が有効です。
特に子猫や老描については致命的な病気ですので、計画的にワクチンを受けるようにしましょう。
室内飼いでも飼い主さん経由や脱走など、どんな原因で感染するかわかりません。ですから、完全室内飼いであっても、定期的なワクチン接種が大切になります。